袋井市茶文化資料館

松下コレクションとは


袋井市が松下  智氏(元愛知大学 国際コミュニケーション学部教授)から寄贈を受けた茶道具約2000点のこと。松下氏が約60年にわたり東南アジアや中国、インドなど海外へ100回以上足を運ぶ中で収集した。横手急須の原型となった中国の急須をはじめとした海外の品々に加え、手もみ製茶や釜炒り茶の製造に使われていた道具などの国内の品や、松下氏が研究の過程で揃えた多くの図書・文献資料も並ぶ。袋井茶文化促進会(小泊重洋 会長)と長年交流のあった松下氏が、静岡県で最古の茶栽培の記録が残る袋井市浅羽から、世界の茶文化を多くの方たちに知ってほしいという願いから袋井市への寄贈が実現した。


松下 智 氏 (MATSUSHITA SATORU)    来歴


1930年  長野県生まれ
1970年  茶の文化振興のために社団法人 [豊茗会]を設立
1998年  愛知大学国際コミュニケーション学部教授 (後に定年退職)
2003年  O-CHAパイオニア賞 受賞  学術研究大賞 受賞
2016年 茶道具類・研究資料を静岡県袋井市に寄贈
2019年 ふじのくに茶の都ミュージアム客員研究員(2019~ )

現在 ~ 松下コレクションを活かす会 名誉会長 / 袋井市茶文化資料館 名誉館長

【著書案内】
※松下氏がこれまでに出版された約20冊のうち、近年のご著書を紹介いたします。

『茶の原産地を探る』大河書房
1953年の日本のヤマ茶の調査から実に半世紀にわたって茶の原産地
を探し求めてアジア各地を行脚した記録。

『日本茶の自然誌』あるむ
ヤマチャに焦点を当て、そのルーツをたどりながら日本茶の変遷や日本茶
のあり方を見つめた茶と茶文化展望の書。

松下氏の『茶の原産地』研究

松下氏が茶の研究として生涯をかけているテーマが「茶の原産地」はどこであるかということです。通説では、中国雲南省が茶の原産地であるとされています。しかし、一口に「雲南省」と言っても、雲南省自体が大変広い地域であり、松下氏はさらに詳らかに探求すべきであるとして文化人類学・民俗学的な手法で研究を続けてこられました。「松下コレクション」は、その過程で買い求めたものだけでなく、松下氏が現地の方とふれあい、語り合うなかでいただいたものも少なくありません。袋井市茶文化資料館では、松下コレクションだけでなく、松下氏の研究の軌跡も合わせてご覧いただけると幸いです。

【松下氏の世界の茶の研究(フィールドワーク)の様子 ~2010年 ラオス茶調査~】

◎ラオス北部の村人に聞き取り調査する松下氏

◎ラオス北部にある茶の木があるという山中へ踏み入る松下氏

◎小川をトゥクトゥクで越える松下氏

◎ラオス北部山中で発見した茶の大樹と松下氏