袋井市茶文化資料館

「茶学の会」のご案内


第121回 茶学の会案内

タイトル:『金沢文庫古文書』の中世喫茶関係資料について
講師:永井晋氏 関東学院大学国際文化学部客員教授
日時:2019年10月19日(土曜日) 午後1時30分より
場所:袋井市南コミュニティセンター
 〒437-0023 静岡県袋井市高尾754−1
 電話: 0538-43-3386
会費:会員 500円、非会員 1000円
 どなたでも参加できます。
 事前連絡不要(当日、ご来場ください)


【要旨】
 金沢文庫古文書は、国宝『金沢文庫文書』4149通をはじめてして、おおよそ7500通ほど今日に伝わっています。今回、出版企画により、この古文書群の中から中世喫茶関係の資料を抽出して整理しました。その成果について報告します。


 資料群は、大きくわけると以下のグループにわけることができます。
  (1)15代執権金沢貞顕及び称名寺2世長老釼阿関係資料群、
  この資料群は鎌倉時代後期の鎌倉の武家社会の喫茶と金沢家の菩提寺として全盛期を迎えた律院称名寺に関係する資料が中心になります。


  (2)称名寺三世長老湛睿と東禅寺関係資料群
  湛睿は、下総国千田庄の東禅寺長老に就任して称名寺と東禅寺を往来しながら、学僧として活動しました。そこで、房総半島の律院が生産していた田舎茶と出逢います。湛睿を通じて称名寺の情報と技術が流入する東禅寺は、茶の品質が向上し、田舎茶から土橋茶とよばれる贈答品として使える茶に変わっていきます。


  (3)称名寺と六浦庄の喫茶文化
  称名寺は茶園を持つので、鎌倉でも、六浦庄でも茶の供給側にたっていました。さまざまな人々が称名寺の律僧と交流し、彼らから称名寺の茶を入手していきます。また、称名寺は法会や社寺造営で多くの振る舞い茶をしました。称名寺と関わりを持ち、称名寺から茶を貰える人々に、喫茶文化が広まっていきます。


  (4)茶は贈答儀礼で流通する。
  鎌倉後期の武家・僧侶の社会では、書状を持った使者を派遣する時、志として茶を一褁もたせます。また、慶事弔事の贈り物にも茶を送ります。この贈答儀礼としての茶のやりとりが、鎌倉に備蓄されている茶を攪拌していきます。
  その他、面白いことがいろいろとわかりました。小ネタも含め、時間の範囲内であれこれ話します。 


連絡先
沢村 信一
436-0021 掛川市緑ヶ丘2-24-8
080-3067-4479
awaji@gem.bekkoame.ne.jp